管内検査ロボット

垂直・曲がり・T分岐の管内を走破

高度経済成長期以降に敷設された我が国の配管インフラの多くは,耐用年数が50年とされており,老朽化が顕在化し始めている.しかし,その多くが地下や高所,建物の内部に敷設されているため,外部からその劣化状況を確認することが困難となる.

 

そこで立命館大学では,10年以上に亘り数多くの自走式小口径管内検査ロボットの研究を実施してきた.その結果,人が入り込めないような配管内部に侵入し,カメラなどで劣化状況を確認することが可能となった.これらの基礎研究から生まれた成果は,プラント点検やガス管点検を目的に複数社の民間企業へも技術移転されており,高い評価を得ている.特に,内径75mmから100mm程度の曲がりや垂直,T字分岐を含む数十mの配管を縦横無尽に素早く走行可能であることが他に例を見ない技術となっている.

食品ハンドリング

柔らかい食品を把持して操作

本研究の目的は,ロボットシステムによる食品マニピュレーションを実現することである.そのために,食品ハンドリング用ソフトグリッパー,ハンドリング用センサ,食品の特性計測とモデリングに関する研究を進める.

日本では,一日に数百万食の弁当が製造,販売されている.弁当への食品のパッキングは,そのほとんどを人手に頼っているのが現状である.賞味期限の観点から,弁当は消費地の近くで製造する必要がある.しかしながら,人手を確保することが近年は困難になりつつあり,パッキング作業の自動化が望まれている.また,菓子の箱への詰め込みや農水産物の仕分け等において,自動化への要望が高い.近年の人手不足に伴い,これまで人手で成されてきたハンドリング作業の自動化が必要とされている.

食品のハンドリングが困難である理由として,多くの食品が柔らかく,さらに食品の形状や特性のばらつきが大きいということが挙げられる.食品の形状や特性のばらつきに対応してハンドリングを実現する一つの方策は,エラストマーやファイバーに代表される柔軟な材料をロボットハンドに導入することである.すなわち,食品と接触する物理的インターフェース部分に柔らかい材料を用いることにより,形状や特性のばらつきが吸収されることを期待できる.