高度経済成長期以降に敷設された我が国の上下水道インフラの多くは,耐用年数が50年とされており,老朽化が顕在化し始めている.これを受け,平成27年に国土交通省水管理・国土保全局下水道部により下水道法が改正され,腐食のおそれのある箇所についてはカメラ等を用いた5年に1回の点検が義務つけられた.しかし,十分な点検技術が確立されていないため,その全ての劣化状況や腐食状況を把握できていない.立命館大学では10年以上に亘り数多くの自走式小口径管路走行ロボットの研究を実施してきた.これらの基礎研究から生まれた成果は,プラント点検やガス管点検を目的に複数社の民間企業へも技術移転されており,高い評価を得ている.特に,内径75mmから100mm程度の曲がりや垂直,T字分岐を含む数十mの配管を縦横無尽に素早く走行可能であることが他に例を見ない技術となっている.